発話のしにくさに関する研究
しっかり声を出せるようになるための音声生成研究

医学的には異常がないと言われている人の中にも,音声コミュニケーションに何らかの不自由を感じている人が存在します.発話も運動の一種ですから,手先が不器用な人がいたり,走るのが不得手な人がいたりするように,発話が不得意な人がいることに不思議はありません.しかし,これまでこのような人々について研究されることはほとんどありませんでした.

そのような中,立川(2014)は151名を対象にして「話しにくさ」の自覚についてのアンケート調査を行いました.その結果,驚くべきことに,日常的に話しにくさを自覚する人が13名,どちらかといえば自覚する人が63名存在しました.そこで,私たちも「話しにくさ」に関する調査とその改善法についての研究を始めました.

1. アンケート調査

大学生505名を対象にして「日ごろ話しにくさを感じていますか?」というアンケート調査を行ったところ,以下のような結果が得られました.


(左) 文系学生のアンケート結果,(右) 理系学生のアンケート結果

話しにくさを感じる人が多数いらっしゃることがわかります.また,理系の方が話しにくさを感じる人が多いことから,男性の方がより多く感じていることが推察されます.また,話しにくさを感じている人ほど,聞き返されることが多いと感じていることもわかりました.

この結果は日本音響学会にて発表し,大きな反響を得ました.詳しくは以下の予稿をご覧ください.


2. 発声訓練プログラムの開発

甲南大学学生相談室のカウンセラーらと協力して,声を出すことに苦手意識を感じる学生がしっかり声を出せるようになるための訓練プログラムを開発することになりました.今後,このページで活動の様子を公開していきます.

2016/5/19 チューブ発声法の体験ワークショップ開催

言語聴覚士の川村直子先生をお迎えして,チューブ発声法を体験するワークショップを開催しました.当日は,学生さん3名とスタッフ3名が参加しました. 川村先生から発声の仕組みについて動画を交えてご説明いただいた後,チューブ発声法を教えていただきました. チューブ発声法は,ストロー(今回はタピオカストローを使用)をくわえた状態で,「うーーー」と発声するものです. この手法は声帯振動を改善し,声を出しやすくする効果が期待されます. 参加者全員初めての体験でしたが,川村先生のご指導により徐々にストローから良い音が出るようになりました. 最後に,自主練習用における注意点をご説明いただいて,ワークショップは終了しました.

2016/7/8 滑舌改善ワークショップ開催

セイアカデミー学長の片山光男氏をお招きして,滑舌を改善するためのワークショップを開催しました.片山先生のご指導の下,20名ほどの参加者が熱心に練習しました.片山先生は以下のような点を強調されていました.

  1. ゆっくり話す.
  2. パワーを込めて話す.
  3. 口をしっかり開ける.
  4. 腹筋を鍛える.
  5. 毎日練習する.
  6. 子音発話のとき,舌がほかの部分に当たらないようにする.

アレクサンダー・テクニーク体験会

10/7 にアレクサンダー・テクニーク体験会を行いました.

発声に関するワークショップ

11/25 に甲南大学にて発声に関するワークショップを開催します. 「第三舞台」を率いる鴻上尚史氏が「発声と身体のレッスン」に書かれた訓練メソッドによるワークショップです. 講師は第三舞台演出家の黒川竹春氏です.


この研究の一部は科学研究費補助金,甲南大学総合研究所の支援により行われました.


Last updated on Oct. 27 2016.
copyright © 2016 Tatsuya Kitamura / All rights reserved.